[東京 31日 ロイター] ホンダ<7267.T>の経営に「8重苦」が襲いかかっている。これまで自動車業界は円高、高い法人税率、労働規制、自由貿易協定への遅れ、温暖化ガス削減、電力不足を「6重苦」として是正を求めてきた。
しかし、池史彦専務は決算会見で「タイの洪水が加わって『7重苦』になった。ホンダは自社の完成車工場も被災しているので『8重苦』という感じがしている」と述べた。
同社は31日、タイ洪水の影響で合理的な算定が困難とし、2012年3月期の連結営業利益(米国会計基準)予想を従来の2700億円から「未定」に変更すると発表した。タイではアユタヤ県にある年産能力24万台の四輪車工場が浸水被害を受けており、生産再開のめどを立てられない状況が続いている。池専務は、タイ工場の排水が12月中旬までかかるとしても、設備の入れ替えなどが必要であり、下半期中は生産できない状況が続く可能性があると述べた。
さらに、洪水の影響がタイ以外の国での生産にも波及している。ホンダはタイをASEAN(東南アジア諸国連合)地域の部品供給拠点としても活用しており、マレーシアでは10月25日から四輪車の生産を休止した。日本の鈴鹿製作所、埼玉製作所についても11月7日から生産調整を行う。
池専務は、インドネシア、フィリピン、ベトナム、パキスタンにもタイから部品を供給しており、今後、これらの地域において生産調整を実施する可能性を示唆した。また、米国での生産についても影響は避けられないとの認識も示した。
ホンダの決算発表を受け、ちばぎんアセットマネジメント調査部長の奥村義弘氏は「会社側は通期予想を未定としたが、タイの洪水による影響が不透明なためで仕方ないだろう」とコメント。その上で「引き続き被害状況などが気がかり要因となり、株価の重しとなるだろうが、中期的には株価は底値圏にあるとみられ、下期には悪材料が出尽くす可能性が高い」とみている。
<単独介入の効果「長続きする期待はもてない」>
他方、同社が主力とする北米市場の見通しについて、池専務は「マクロ経済にはいい指標はないが、自動車の実需は戻り基調にある」と述べた。その上で、12年の米国需要は「1340万─1350万台」とし、11年に比べて100万台程度伸びるとの見通しを示した。
池専務は、下期以降の想定レートについて「社内的には1ドル75円、1ユーロ100円で計算している」と述べた。
同日行われた政府・日銀による円売りの単独介入に対しては「やっとやっていただいた。今日の79円程度でずっと戻っていてくれれば助かるが、単独介入の限界も過去の経験から分かっている。長続きする期待はもてない」と語った。
<11年4―9月の連結営業利益は前年同期比81.1%減の750億円>
11年4―9月の連結営業利益は前年同期比81.1%減の750億円になった。二輪事業で売上高の増加があったが、東日本大震災の影響で四輪事業の売上高が減少したほか、為替換算上の影響もあり、連結売上高は、前年同期比22.0%減の3兆6004億円だった。
売上高の減少と、減産に伴うコスト影響、原材料価格の変動影響、為替影響などが響いたため、販売費・一般管理費の減少では補い切れず利益が圧迫された。当期利益は、同77.4%減の922億円だった。
(ロイターニュース 平田紀之、杉山健太郎 取材協力;杉山容俊 編集;田中志保)
